とうふの日記

自分用の吐き出し

『愛なんていらない』

「どうして!もっと素直に、結婚したいの!お父さん、お母さん、助けてって甘えられないの?だから誰とも上手くいかないのよ!」

飲み屋の店先で実家からの電話を聞きながら、別れた彼氏が「もっと甘えて」「素直になって」と言うのを持て余していたことを思い出していた。私いま外だから、とかなんとか言って電話を切った。戻ってビール飲みたいし。

親子で活動する婚活に登録したい親、干渉されたくない娘。ただでさえ自他の区別が怪しい親とセットで婚活をする。しかも親主導で。30の手前でやっと手に入れた穏やかな生活が失われそうで、鼻の奥がツンとして視界がぼやけた。

断る。絶対に断る。甘えていいんだよ、素直になって、と言いながらコントロールしたいだけじゃないか。思い通りにリアクションしなければ「素直になれ」と。正確には「思い通りに動け」なのに。自他の区別が怪しい愛なんていらない。鈴木いづみの小説の一節がそのままに腑に落ちてきた。

 

『結婚するなんておそろしい。だれが相手でも。他人に全部をあずけるなんて、特に、こんな男が相手だと。愛なんていらない。愛のなかで自分をうしなうくらいなら。愛されるのが、おそろしい。』

鈴木いづみ ハートに火をつけて!だれが消す)